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時間単位年休は導入した方がいい?会社が迷いやすいポイントを解説

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時間単位年休は導入した方がいい?会社が迷いやすいポイントを解説

はじめに

「通院のために2時間だけ休みたい」
「子どもの学校行事があるので、午後だけ休みたい」

このような場面で、1日単位の有給休暇では使いづらいという声が出ることがあります。

そこで活用できるのが、時間単位年休です。

時間単位年休とは、年次有給休暇を1時間単位で取得できる制度です。年に5日分を上限として、1時間・2時間・3時間など、必要な時間だけ有給休暇を取得することができます。

従業員にとって利便性が高い制度ですが、その一方で、導入後の運用に悩む会社も少なくありません。 今回は、時間単位年休の概要と、導入時に会社が迷いやすいポイントについて解説します。

時間単位年休のメリット

時間単位年休を導入すると、従業員は次のような場面で有給休暇を使いやすくなります。

  • 通院
  • 子どもの学校行事
  • 介護や家族対応
  • 役所や銀行などの私用
  • 朝だけ、午後だけ休みたい場合

1日休むほどではないけれど、数時間だけ休みたいという場面は意外と多くあります。

会社としても、1日まるごと休まれるより、半日や数時間だけ休んでもらった方が業務調整しやすいというケースもあります。 また、休暇制度が柔軟な会社として、採用時のアピールにつながることもあります。

一方で、導入をためらう会社も多い

時間単位年休は便利な制度ですが、導入をためらう会社も少なくありません。 その理由として多いのは、下記のような内容です。

  • 管理が大変そう
  • 有給休暇が細切れになりそう
  • 一部の従業員だけが頻繁に使いそう
  • 勤怠管理や残日数管理が煩雑になりそう
  • 他の従業員との不公平感が出そう

実際、紙の勤怠管理やExcel中心で運用している会社では、残時間の管理が難しくなることがあります。

また、「時間単位年休を認めると、毎月のように使われるのでは」と不安に感じる経営者もいます。

ただ、時間単位年休は無制限に使える制度ではありません。

年に5日分までという上限があり、例えば1日の所定労働時間が8時間の会社であれば、1年に40時間までです。 制度の内容を正しく理解した上で、自社に合う形で導入することが重要です。

導入するために必要な手続き

時間単位年休を導入する場合は、次の対応が必要です。

  • 就業規則への規定(従業員数を問わず全ての企業)
  • 労働基準監督への届出(常用労働者数10名以上)
  • 労使協定締結(従業員数を問わず全ての企業・労働基準監督署への届出不要)

就業規則は、常時10人以上の労働者を使用する会社では労働基準監督署への届出が必要です。 また、時間単位年休は、就業規則に書くだけでは足りず、労使協定も必要になります。

協定では、対象者の範囲や、1日分を何時間とするか、年度内の上限(5日)の扱いなどを詳細に定める必要があります。特に、日によって労働時間が異なる従業員の算出方法は複雑で、誤った設定をすると「法定の日数に足りない」といった法令違反を招くリスクがあります。

  • 時間単位年休の対象労働者の範囲
  • 時間単位年休の日数
  • 時間単位年休1日分に相当する時間数
  • 1時間以外の時間を単位とする場合はその時間

導入しているのに事故になるケース

せっかく制度を導入しても、以下のような運用ミスで「事故」になるケースが後を絶ちません。

  • 労使協定を作っていない
  • 就業規則に書いていない
  • 年5日の有休取得義務に含めてしまっている
  • 時間単位年休の残時間管理ができていない
  • パートや短時間勤務者の1日時間数の計算が曖昧
  • 利用理由を限定してしまっている

これらは単なる事務ミスではなく、労働基準法違反として是正勧告の対象となり得る重大なリスクです。

特に多いのが、「時間単位年休で使った分も、年5日の有休取得義務に含められる」と思っているケースです。行政解釈では、年5日の取得義務に時間単位年休を含めることはできないとされています。

そのため、時間単位年休をたくさん使っていても、別途1日単位または半日単位の有給休暇を取得させる必要があります。 また、所定労働時間が日によって異なる従業員については、「1日分を何時間として扱うか」の考え方が曖昧になりやすいため注意が必要です。

導入した方がよい会社とは

時間単位年休は、すべての会社に必要というわけではありません。 ただ、次のような会社では導入メリットが大きいと考えられます。

  • 子育て世代の従業員が多い
  • 通院や介護を抱える従業員が多い
  • 半日休暇では足りないという声がある
  • 採用時に柔軟な働き方をアピールしたい
  • 遅刻・早退・欠勤との区別が曖昧になっている

一方で、現場作業が中心で、途中離席が難しい業務では、対象者や運用方法を慎重に整理する必要があります。

おわりに

時間単位年休は、従業員にとって便利な制度ですが、導入すれば終わりではありません。

  • 就業規則と労使協定の整合性
  • 複雑になる残日数管理
  • 年5日取得義務との確実な切り分け

これらをセットで整理しておかないと、後から「制度はあるけど管理できない」「法的に不備がある」という状態になってしまうことがあります。

エスマイル社会保険労務士事務所では、単なる制度の解説にとどまらず、「就業規則の作成・変更」から、煩雑な「給与計算代行・有給休暇管理」「勤怠管理のIT化」まで、企業の労務全般をサポートしています。

時間単位年休を導入するか迷っている場合や、今の運用に不安がある経営者様は、ぜひ一度ご相談ください。貴社の実態に合わせた、無理のない制度運用をご提案いたします。

就業規則や休暇制度の整備についてはこちら

  • この記事を書いた人

エスマイル社会保険労務士事務所 社会保険労務士 三浦 敬子

北九州・小倉南区を拠点に、中小企業の労務顧問、就業規則、給与計算、助成金などを支援。制度説明だけで終わらず、経営者の悩みや迷いを整理し、次に何をすべきかが見える支援を大切にしています。
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