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【職業分類改定】派遣労働者の賃金設定への影響

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【職業分類改定】派遣労働者の賃金設定への影響

派遣労働者の賃金水準の設定

前回投稿記事のとおり、派遣労働者の賃金水準は、『派遣先均等・均衡方式』と『労使協定方式』のいずれかによる待遇の設定により、派遣労働者の同一労働同一賃金を図ることとが派遣法で定められています。「労使協定方式」では、派遣労働者の待遇と、全国の同職種・同業務に従事する労働者との同一労働同一賃金を図ることとなり、個々の派遣労働者の賃金水準は派遣元企業が労働者の過半数代表者との間で締結する労使協定で定める賃金額以上となるように設定されます。この場合の労使協定で定める賃金額は、以下の計算式で求めます。

派遣労働者の賃金水準を算定するための基本的な計算式

(1) 地域指数×(2)職種別の基準値×(3)能力・経験調整指数

職種別の基準値とは

上記計算式の「(2)職種別の基準値」には、国が発表している統計資料に記載された数値を用います。具体的には、厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」または「職業安定業務統計」に職種ごとに記載された賃金額を用いて上記計算式により賃金水準を算出することとなります。これらの統計は毎年公表されており、労使協定方式を採用する派遣企業は、毎年厚生労働省が発表している統計の数値を確認して職種ごとに派遣労働者の賃金水準を設定しています。

この統計のうち「職業安定業務統計」は、職業安定所を通じた職業紹介や求職活動の動向から把握した職種ごとの賃金水準が示されています。職業安定業務統計では「厚生労働省編職業分類」により職種を分類し、職種ごとの賃金水準等について調査した結果が発表されています。しかし、直近の改定である平成23年から10年の間に産業構造、職業構造の変化等が生じたことによる求人・求職者の職業認識との乖離が生じた分野もみられたため職種分類の見直しが行われました。これにより職種分類が細分化され、令和7年度以降の派遣法労使協定で職業安定業務統計を用いて派遣労働者の賃金水準を設定する場合は、新・職業分類をもとに派遣労働者の賃金水準を設定することが必要になります。

※厚生労働省:令和6年度適用 職業安定業務統計より

細分化された職業分類

「職業安定業務統計」に定められた職種分類は、改定により次のように見直されます。

  • 大分類項目の見直し( 11項目 → 15項目 )
  • 中分類項目の見直し( 73項目 → 99項目 )
  • 小分類項目の見直し( 369項目 → 440項目 )

職業安定業務統計には数多くの職種名と賃金水準が記載されていますが、どのような業務がどの職業分類に属するかは、独立行政法人 労働政策研究・研修機構の「第5回改定厚生労働省編職業分類」をもとに判断します。

独立行政法人 労働政策研究・研修機構「第5回改定厚生労働省編 職業分類の解説 分類の体系および分類適用上の留意点」より

労使協定方式により派遣労働者の賃金水準を設定している派遣元企業は、令和7年度からは職種分類が細分化されるのに伴い、現状の職務がどの分類に属することとなるのかを再確認して労使協定を締結することが必要となります。

おわりに

派遣労働者の賃金水準を労使協定方式により設定する派遣会社のなかでも、上記計算式の「(2)職種別の基準値」に職業安定業務統計を用いている企業が大多数を占めることが考えられます。厚生労働省からの詳細の公表は、令和6年度中に行われることが発表されていますので漏れなく対応できるよう早めの確認と対応が求められます。労使協定の整備などについてお考えの企業様は、当事務所までお気軽にお問合せ下さい。

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