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同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(労使協定方式による同一労働同一賃金)について

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同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(労使協定方式による同一労働同一賃金)について

令和6年度を対象とする「局長通達」や「同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額」等が発表されていますのでお知らせいたします。

派遣元事業主は、自社が雇用する派遣労働者の待遇を、以下のいずれかの方式により決定することになります。

  1.  派遣先均等・均衡方式(派遣先の通常の労働者との均等・均衡待遇の確保)
  2.  労使協定方式(一定の要件を満たす労使協定による待遇の確保)

このうち「2. 労使協定方式」については、厚生労働省職業安定局長が毎年発表する局長通達に定める基準以上となるように翌年度の賃金水準を設定し、労使協定に定めることが必要です。

通勤手当額の変更

令和6年度を対象とする局長通達では通勤手当支給額の変更について記載されています。下記に簡単な内容をご紹介いたします。

  • 通勤手当を時給に含めて支給する場合

通勤手当として支給される賃金を時給換算した額が、局長通達に定める金額以上となることが必要です。令和6年度は、1時間あたり「72円」(令和5年度は1時間あたり「71円」)以上となるように支給することとなります。

  • 通勤手当を実費支給とする場合

一般に、通勤費は実費支給とするが1ヶ月の上限額を定めている企業は多くあります。この場合の派遣労働者に対する通勤費の支払額には、注意が必要です。1ヶ月の上限額を定めている場合、「1ヶ月の通勤費上限額÷自社が雇用する平均的な派遣労働者の所定労働時間数≧72円」となるように金額を設定することが必要です。
また、1ヶ月の上限額を定めていない場合であっても、自家用車通勤の場合に支給する通勤費を「1キロあたり○円」というように固定額を用いて通勤手当を支給している場合、当該固定額が実費支給といえる金額となっているか再確認することをおすすめします。ガソリン価格は上昇傾向にあることや、国土交通省が発表している自動車燃費の平均値等を参考に再検討してみてはいかがでしょうか。

最低賃金額改定への対応にも気をつけましょう

派遣労働者の待遇は局長通達に定める「職種別の賃金×能力・経験調整指数×地域指数」を求め、企業ごとに定めた退職金や通勤手当の支払方法により「通勤手当」「退職金」の全部又は一部を合算して賃金水準を設定します。毎年10月には地域別最低賃金が改定されますので、派遣労働者に支給する賃金額(職種別の賃金×能力・経験調整指数×地域指数)が最低賃金額以上となっているかの確認が必要です。最低賃金額の上昇により、最低賃金額を下回ることとなる職種が生じる場合は、労使協定に記載した金額を修正し、労働者の過半数代表との締結、労働者への周知を済ませる対応が必要です。

当事務所が所在する福岡県では、令和5年10月6日を発行日として時間当たりの最低賃金額が941円になります。派遣会社と派遣労働者の有期雇用契約が10月をまたいだ期間である場合であっても、地域別最低賃金の発効日以降の勤務に対しては雇用契約に定めた賃金額ではなく、最低賃金額以上の賃金を支払う対応が必要です。

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