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マイナポータルを利用した離職票発行【実務で知っておきたいポイント】

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マイナポータルを利用した離職票発行【実務で知っておきたいポイント】

はじめに

雇用保険の被保険者資格のある労働者が退職した際、事業主は退職日の翌々日から10日以内にハローワークに雇用保険被保険者資格喪失届を提出する必要があります。離職票とは、労働者が退職後に、雇用保険の求職者給付(基本手当(いわゆる失業給付))を受け取るために必要な書類のことです。
2025年1月20日より、この雇用保険の資格喪失手続に関する新たな対応として、離職票がマイナポータルを通して発行される仕組みが開始されています。

離職票が発行されるまでのながれ

労働者が退職した際に、従来は事業所が届け出た「雇用保険被保険者資格喪失届・離職証明書」の処理がハローワークで終わり次第、事業所宛に離職票などの書類が届くながれで処理されており、離職した労働者は事業主から離職票等を受領してハローワークで基本手当の受給手続き等を取る必要がありました。

この度、この離職票発行の過程が一部デジタル化され、ハローワークでの資格喪失届・離職票発行の処理が終わり次第、ハローワークから退職した労働者へ直接、マイナポータルを通じて離職票が発行できることとなりました。
これにより、事業所から退職後の労働者へ離職票を送付する過程が省略可能となり、退職者にとっては事業所からの郵送等を待たずにハローワークでの基本手当の受給手続き等を行えるようになります。

厚労省「2025年1月から、「離職票」をマイナポータルで受け取れるようになります!」 より

マイナポータルでの離職票受取りの要件

マイナポータルを利用した離職票の発行は、一定の要件を満たした場合に可能となります。具体的には次の3つの要件を満たされていることが要件です。

事業所が電子申請により雇用保険の離職手続きを行うこと

事業所が雇用保険の手続を行う方法として、ハローワークの窓口に出向いて届け出る方式と、窓口に出向かずに電子申請で届出を済ませる方式があります。マイナポータルを通じた離職票発行の仕組みを利用するためには、雇用保険の離職手続きを電子申請で行う必要があります。事業所が、紙様式でハローワークの窓口に届け出た場合は、従来通り、離職票等は事業主宛に発行されるため、従来通り退職した労働者へ郵送等で渡すこととなります。

マイナンバーが被保険者番号と紐づいていること

労働者が入社したときなどに行う雇用保険資格取得手続では、手続の様式にマイナンバーを記載することが必要ですが、稀にマイナンバーの登録がハローワークに届け出られていないなどにより、雇用保険の被保険者情報とマイナンバーが紐づいていない場合があります。このように、ハローワークでのマイナンバーの登録が済んでいない場合には、マイナポータルを通じた離職票発行の仕組みを利用することはできず、これを可能とするためには、遅くとも資格喪失届提出の2週間程度前までにマイナンバーの登録手続き(「個人番号登録・変更届」の届出)を行う必要があります。

離職者がマイナポータルと雇用保険WEBサービスの連携設定を行っていること

雇用保険被保険者離職票をマイナポータルで受け取るためには、離職者がマイナポータルと「雇用保険 WEB サービス」との連携設定を行うことが必要です。事業所が電子申請により離職手続きを行っていても、退職者が連携設定を行っていない場合は、マイナポータルに離職票が送信されず、従来どおりハローワークから事業所宛に離職票が送付されます。

実務上で知っておきたいこと

マイナポータルを利用した離職票の受け取りに関するFAQが、厚労省より発表されています。

マイナポータルで発行されるのは離職票だけ?

離職票のほか、離職票とともに発行される「離職票-1・資格喪失確認通知書(被保険者用)」、また、「雇用保険被保険者期間等証明票」や「雇用保険被保険者証・雇用保険被保険者氏名変更届受理通知書」も対象です。

マイナポータルに発行されたことは事業所側が把握できる?

事業所が電子申請で離職手続きを完了すると、離職者本人へマイナポータル上で直接交付した旨の通知が届くこととなっています。

マイナポータルで受け取った離職票は、印刷してハローワークに持って行く必要がある?

ハローワークの窓口で、電子データ(PDF ファイル)をスマートフォン等の画面に表示して提示すれば、印刷して持参する必要はありません。マイナポータル経由ではなく、事業所から電子メール等で受け取った離職票の電子データについては、印刷してからハローワーク持参することが必要です。

退職者のスマホやPC等の不具合でマイナポータルが使えなくなったら?

本人確認書類(免許証、マイナンバーカード等)を持参してハローワーク窓口へ出向くと、再発行されるようになっています。

おわりに

手続の電子化による人事労務業務の効率を向上するためには、細かな要件や対応方法を把握して適切に対応することが重要です。雇用保険や社会保険の手続きなどの人事労務に関するサポートについてはお気軽にお問合せ下さい。

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