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【2025年4月開始】育児時短就業給付|経営者が知っておくべきポイント

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【2025年4月開始】育児時短就業給付|経営者が知っておくべきポイント

はじめに

2025年4月から、育児と仕事の両立を支援するための新しい制度がスタートします。 企業は、従業員のワークライフバランスに配慮した柔軟な働き方を整備する必要があり、この対応が企業の競争力にもつながります。
これと同時期に、育児中の労働者に対する雇用保険の新たな給付制度【育児時短就業給付】と【出生後休業支援給付金】という2つの新たな制度がスタートします。今回の記事では、育児時短給付について解説いたします。

過去記事【2025年施行】改正育児介護休業法・労使協働で築く働き方の新基準

令和7年4月法改正の育児介護休業法について解説いたします。制度の利用対象者や利用範囲が拡充され、さらに新たな制度が盛り込まれることとなっています。

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育児時短就業給付の創設背景

育児時短就業給付は、育児と仕事を両立させるために重要な制度です。育児介護休業法では、子が3歳になるまでの期間の所定労働時間を短くして働ける育児短時間勤務制度(原則として1日の所定労働時間を6時間まで短縮できる制度)があります。育児短時間勤務制度は、労働者の仕事と育児の両立支援にはなるものの、所定労働時間を短縮した時間分の賃金はノーワークノーペイの原則から支払われることがないため、フルタイム勤務と比べて収入が減ることとなります。

この状況を踏まえた国の少子化社会における育児支援として、子育て期の労働者が柔軟な働き方として時短勤務を選びやすくするために、新たに雇用保険からの給付として育児時短就業給付の制度が始まります。

支給対象となる条件|どんな労働者に支給される?

育児時短就業給付は、次の要件を満たす雇用保険被保険者である労働者に対して、月単位で支給されます(雇用保険法第61条の12|令和六年法律第四七号)。

  • 雇用保険の被保険者であること
  • 2歳に満たない子の養育のために所定労働時間を短縮して働いたこと
  • 次のいずれかに該当すること
    • 育児時短就業を開始した日前2年間に、みなし被保険者期間(※1)が通算して12か月以上あること
    • 育児休業給付金の支給を受けていた場合は、その育児休業終了後引き続いて育児時短就業していること
    • 出生時育児休業給付金の支給を受けていた場合は、その出生時育児休業の終了後に引き続いて育児時短就業をしていること

※1:みなし被保険者期間とは、育児時短就業を開始した日を被保険者でなくなった日とみなしてカウントする被保険者期間。賃金の支払いの基礎となった日数が11日以上ある月を1ヵ月として数えます。

育児時短就業給付の額

育児時短就業給付は支給対象月ごとに支給されるもので、当該支給対象月(※2)に企業から支払われた賃金額に100分の10をかけた額となります。ただし、雇用保険の各種給付には上限が定められており、育児時短就業給付についても同様であるため要注意です。育児時短就業給付には、育児時短就業中に企業から支払われた賃金額と育児時間就業給付の合計額が、時短勤務前の賃金額を超えないように調整される仕組みがあります。この場合は、給付率が100分の10から逓減されることとなります。

子ども家庭庁:子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律(令和6年法律第47号)の概要より

※2:この場合の「支給対象月」とは、雇用保険の被保険者である労働者が、育児時短就業を開始した日の属する月から、当該育児時短就業を終了した日の属する月までの期間内にある月(暦月)です。その月の初日から末日まで引き続いて被保険者であること、かつ、介護休業給付金や育児休業給付金、出生時育児休業給付金、出生後休業支援給付金の支給を受けることができる休業をしなかった月に限られます。

まとめ

育児時短就業給付の活用は、従業員の育児と仕事の両立を支援し、企業にとっても働きやすい職場環境の実現につながります。時短を選べる職場環境を提供することは、働きやすい環境の実現や人材確保に繋がります。

一方で、企業が制度利用を促進するにつれ、業務や役割の配分や勤務評価の納得性を維持向上し、従業員の定着やパフォーマンスを引き出す取り組みにより、互いに尊重しながら働ける環境づくりも重要です。

当事務所では、組織のモチベーションを診断しながら、課題の改善、制度整備のサポートにより従業員が安心して働ける環境づくりを支援いたします。自社でできる働き方の工夫について疑問や迷いが生じた場合は、お気軽に当事務所までご相談下さい。

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