1.正社員転換など、パート・有期社員の雇用管理も見直しへ
2026年10月1日から、パートタイム・有期雇用労働者に関するルールが変わります。
これまでの記事では、雇入れ時の明示事項追加と、同一労働同一賃金ガイドラインの改正について取り上げました。もう一つ改正されるのが、「雇用管理指針」です。
雇用管理指針は、パート・有期雇用労働法に基づき、事業主がパート・有期雇用労働者の雇用管理を行う際の具体的な考え方や留意事項を示した厚生労働省の指針です。今回はその中から、実務上特に確認しておきたい「正社員転換の運用」と「就業規則作成・変更時の過半数代表者」について見ていきます。
2.正社員転換は「転換措置」から、本人の意向確認まで
従来から、パート・有期雇用労働法第13条では、正社員への転換を推進するための措置として、正社員募集の周知、正社員への応募機会の付与、正社員転換制度の整備などのうちいずれかを講じることを事業主に求めています。
2026年10月からは、この転換推進措置を行う際の運用について内容が追加されます。
- 転換制度を設けるとともに複数の措置を講じることが望ましい とされるほか、
- 契約更新時の面談やメール等を活用して、その転換推進措置の対象となるパート・有期雇用労働者の意向を確認し、その意向に配慮する
こととされます。
つまり、今後は、法第13条の転換推進措置を講じているだけでなく、その措置の対象となる本人の意向を確認し、その意向に配慮できる運用になっているかにも目を向ける必要があります。例えば、契約更新時の面談など、すでに行っている機会を利用して意向を確認する方法も考えられます。
また今回の改正では、正社員への転換制度の内容や転換実績、教育訓練等の取組状況を本人に明示するよう努めることや、ウェブサイト等で定期的に公表することが望ましいことも追加されています。
制度を作るだけでなく、本人が制度を知り、利用できる状態になっているか。 今回の改正では、そこまで含めて正社員転換の運用を確認することになります。
3.パート・有期社員の就業規則、代表者はどう選んでいますか?
もう一つ確認しておきたいのが、就業規則の作成・変更時の意見聴取です。
労働基準法では、就業規則を作成・変更するとき、事業場の全労働者の過半数代表者等から意見を聴く必要があります。
これとは別に、パート・有期雇用労働法第7条では、パート・有期雇用労働者に関する事項について就業規則を作成・変更するとき、対象となるパートまたは有期雇用労働者の過半数を代表すると認められる者から意見を聴くよう努めることとされています。
2026年10月の指針改正では、この代表者について、原則として管理監督者でないことに加え、法第7条の意見聴取のための代表者を選ぶことを明らかにして、投票・挙手等によって選出し、会社の意向で選ばれた者ではないことが明確化されます。
つまり、「会社が一方的に『○○さんを代表者にします』と決める」ではなく、何のための代表者を選ぶのかを明らかにし、対象となる労働者自身の意思によって選出することがポイントです。
就業規則を改定するときは、規程本文だけでなく、法第7条に基づく意見聴取の対象や、代表者の選出方法についても確認しておきたいところです。
※画像をクリックすると拡大表示されます

4.10月までに確認したい「正社員転換」と意見聴取の運用
今回の改正で特に確認したいのは、制度が書かれているかだけでなく、実際にどのように運用しているかです。
例えば、
- 正社員募集の周知、応募機会の付与、転換制度など、法第13条の転換推進措置のいずれかを講じているか
- 自社の転換推進措置の対象者について、本人の意向を確認し、その意向に配慮できる運用になっているか
- 正社員転換制度を設けている場合、その内容や転換実績等を本人へ伝えられる状態になっているか
- パート・有期雇用労働者に関する就業規則を作成・変更する際、法第7条に基づく意見聴取の対象となるか確認しているか
- その意見聴取を行う場合、何のための代表者かを明らかにしたうえで、投票・挙手等により代表者を選出しているか
といった点を確認しておきたいところです。
パート・有期社員の雇用管理を確認したい場合
弊所では、就業規則や各種制度の内容だけでなく、実際の運用との整合性を確認する労務診断も行っています。
正社員転換制度の運用や、就業規則作成・変更時の意見聴取など、現在の雇用管理を一度整理しておきたい場合にもご利用いただけます。