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労災申請だけでは足りない?熱中症・仕事のケガで会社が負う届出義務|労働者死傷病報告

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労災申請だけでは足りない?熱中症・仕事のケガで会社が負う届出義務|労働者死傷病報告

はじめに

暑さが厳しくなる時期には、屋外業務などを中心に、業務中の熱中症による体調不良が生じやすくなります。また、季節に関係なく、新入社員に仕事を覚えてもらうなかで、うっかり業務上のケガが起きてしまうこともあるでしょう。

このような場合、労災保険からの保険給付を申請できるかもしれないと考える方は多いと思います。
もっとも、労災対応で会社が行うべきことは、労災保険の給付請求への対応だけではありません。会社には、労働者死傷病報告という届出義務が課される場面があることも、忘れてはならないポイントです。 この届出を故意に行わなかったり、事実と異なる内容で報告したりすると、いわゆる「労災かくし」として罰則の対象となることがあります。
本記事では、労働者死傷病報告とはどのようなもので、どのような場合に届出が必要になるのか、そして届出漏れを防ぐにはどうするとよいかについて解説します。

労働者死傷病報告が必要になるのはどんな災害か

点検

労働者死傷病報告は、労働者が死亡し、または休業した場合などに、事業主が労働基準監督署長へ提出する届出です。 労働者死傷病報告の提出が必要になるのは、

  • 労働者が労働災害により死亡し、又は休業したとき
  • 労働者が就業中に負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業したとき
  • 労働者が事業場内又はその附属建設物内で負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業したとき

…とされており(労働安全衛生法第100条、労働安全衛生規則第97条)、労働者死傷病報告を提出せず、若しくは虚偽の報告をした場合は、いわゆる「労災かくし」として、50万円以下の罰金に処されることがあります。 たとえば、作業中の転倒や切り傷、荷物の運搬中のケガ、機械や工具による負傷、業務中の熱中症などは、会社としてまず確認しておきたい典型例です。
こうした災害が起きたときには、会社の責務として労働者死傷病報告の届出が必要になる場面があります。

労働者死傷病報告にも種類がある

よく「労働者死傷病報告は、休業が4日以上になったら報告しなければならない」と思われがちですが、実はそれだけではありません。労働者死傷病報告の基本的な届出は次のとおりです。

労働安全衛生規則様式第23号により、災害発生後遅滞なく届け出ることが必要です。

労働安全衛生規則様式第24号により、四半期ごとに取りまとめて報告する必要があります。具体的には、1月~3月の災害は4月末日、4月~6月の災害は7月末日、7月~9月の災害は10月末日、10月~12月の災害は翌年1月末日までが期限となります。

また、労働者死傷病報告において報告すべき事項には、
・労働災害の発生日時
・被災労働者の氏名、生年月日
・職種及びその経験年月
・休業の見込日数
・傷病の名称(骨折など)及び部位
・被災地の場所
・災害発生状況及び原因の説明、発生時の状況についての略図
などがあります。

報告期限までに報告書を作成して提出できるようにするためには、事故発生の報告を受けた際に、必要な事情を把握しておくことが重要です。

実務で起こりやすいのは、報告漏れや初動ミス

実務では、労働者本人や現場の判断により、結果として報告が行われなかったり、報告が遅れてしまったりすることも起こりがちです。たとえば、

  • 本人が「このくらいなら大丈夫」と思って会社に報告していない
  • 「会社に迷惑をかけたくない」と考え、健康保険で受診してしまう
  • 現場責任者が「大したことはない」と考えて、その場で止めてしまう
  • 就業中ではなかったが、事業場内・敷地内・事業場に附属する建築物内で発生した負傷等であるにもかかわらず、報告対象ではないと判断している
  • 労災保険の給付請求をしていれば、会社としての届出は不要だと誤解している

といったケースです。 しかし、労災保険の給付請求は補償のための手続であり、労働者死傷病報告はそれとは別に、会社に課された報告義務です。
そのため、「労災保険の給付申請をしているから大丈夫」「会社は知らなかったから仕方がない」といった説明だけでは足りない場面があります。

会社を守るのは、日頃の共有とルール整備

労務相談_横長

業務上の災害により、労働者死傷病報告の提出が必要になったにもかかわらず届出を行わなかったり、虚偽の報告をしたりした場合、50万円以下の罰金などのペナルティを受ける可能性があります。
仕事で事故や体調不良などが起きたときに、会社へ適切に報告が上がり、必要な事実確認が行われ、労基署への届出やその後の対応につなげられる状態を作っておくことが重要です。

そのためには、少なくとも次のような事項を社内で共有しておきたいところです。

  • 事故やケガ、体調不良が起きたときは誰に報告するのか
  • 報告を受けた責任者は誰に共有するのか
  • 労働者死傷病報告が必要か判断に迷う場合は、誰が確認し、どう進めるのか

就業規則や安全衛生ルールに定めがあっても、実際に現場で使われなければ意味がありません。
「従業員の業務上の傷病に対する療養補償、休業補償等は法令の定めるところによる」といった補償面の整理がされていても、上司や会社への報告義務や、報告を受けた場合の対応が明確になっていない事業所も多いかもしれません。 会社が法令で定められた義務としての報告を、期限内に、正しい内容で行うためには、災害発生時の労働者からの協力を得る必要があります。
だからこそ、社員や責任者、リーダー層も含めて、日頃から報告ルートや初動対応を共有しておくことが大切です。

まとめ

業務中のケガや熱中症などが起きたとき、会社が対応すべきことは、労災保険の給付請求だけではありません。一定の場合には、労働者死傷病報告という会社の届出義務も生じます。

本人が被災を報告しなかったり、現場判断がずれていたり、報告ルートが曖昧だったりすると、会社として必要な対応が遅れてしまうことがあります。
だからこそ、被災時の報告義務や報告先を整理し、現場で使える形で共有しておくことが重要です。

エスマイル社会保険労務士事務所では、いざというときに会社が困らない制度整備や、労基署への届出、保険給付手続きのサポートを行っています。
労災時の社内ルールや就業規則の見直しを進めたい場合は、就業規則作成・見直しページを、労基署への手続きや日常の労務対応も含めて整理したい場合は、労務顧問ページもあわせてご覧ください。

  • この記事を書いた人

エスマイル社会保険労務士事務所 社会保険労務士 三浦 敬子

北九州・小倉南区を拠点に、中小企業の労務顧問、就業規則、給与計算、助成金などを支援。制度説明だけで終わらず、経営者の悩みや迷いを整理し、次に何をすべきかが見える支援を大切にしています。
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