派遣業は、国の許可を得たうえで行うことができる事業です。国が設けた様々な許可要件を満たして許可を申請し、許可を受けた後にも定期的に許可の更新申請を行う必要があります。派遣業許可申請をする際、派遣スタッフに適用する就業規則に、派遣許可を得るために必要な規定が定められていることも要件のひとつです。
毎年6月には、直近年度の事業状況を労働局へ報告しなければなりません。この報告には、派遣労働者数や3年間継続して同じ派遣先部署に派遣する場合に講じた雇用安定措置の内容やマージン率等が含まれており、インターネット等で社外に公表することが必要です。これらの情報は、派遣先企業や仕事を探す方が、取引や派遣の登録を検討する際の参考情報として活用されます。
派遣会社が管理しなければならない書類(労働者派遣契約書、管理台帳、就業条件明示書、派遣法労使協定など)に記載すべき事項は、たびたび法令の改正にともない追加や変更が行われています。不備があると、労働局の調査で指摘を受けたり、派遣先や派遣スタッフとのトラブルが生じることがあります。
派遣労働者の同一労働同一賃金に対応する方式として、派遣会社が派遣スタッフの待遇について派遣先均等・均衡方式を採用する場合のサポートを行います。派遣先正社員の職務の内容などと比較して、その違いに応じた公平な待遇となるように待遇を設定する必要があります。
労使協定方式による同一労働同一賃金の確保は、派遣会社と労働組合(又は労働者代表)が話し合って同一労働同一賃金を実現するためのルールを整備する仕組みです。国が定める職種ごとの待遇水準以上の賃金額を支給することや、退職金制度の適用有無、能力に応じて待遇を改善することなどを定めます。派遣会社の正社員の待遇を把握したうえで検討すべき事項が多くあり、厚労省のひな型をそのまま利用していると実態と違っていたり、必要な事項が漏れていることも見受けられますので注意が必要です。
派遣に適用される労働関係諸法令では、派遣スタッフの労務面について派遣先に責任があるものと、派遣会社に責任があるものがあります。他方で、ハラスメントや労災事故、妊娠の報告を受け業務上の配慮を要する場合のように、派遣会社と派遣先が連絡や調整をして対応する必要があるものもあります。派遣会社は、労働関係諸法令に定められている事項と、自社の責務を理解して適切に対応することが必要です。
派遣会社は、派遣スタッフを同じ派遣先の部署に3年継続して派遣することとなる場合は、派遣先へ直接雇用を依頼する等の雇用安定措置を講じなければならないことが派遣法に定められていますが、実際には、継続1年や2年が経過したときに直接雇用となることがあります。この場合の申込手続きや紹介手数料について、派遣先や派遣スタッフとのやり取りを円滑に進めるためには、あらかじめ明確な規定や対応事項を明確にしておくことが重要です。