法改正 雇用契約

労働契約締結時の条件明示ルールが変わります(3)

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労働契約締結時の条件明示ルールが変わります(3)

2024.4.1から、労働契約を締結する際に、企業が労働者に対して明示すべき事項について法改正が行われます。
法改正について全3部でご紹介するシリーズ記事の第3部となる本記事では、無期転換権が発生している有期雇用の労働者に対し、企業が明示しなければならない事項についてご紹介します。

法改正:2024.4.1施行

1.労働契約締結時の労働条件明示事項が追加

2.有期雇用契約の更新上限有無の明示

3.無期転換権が発生する場合の申込機会と転換後の条件明示

無期転換ルールとは

無期転換ルールとは、同一の使用者(企業)と有期雇用労働者との間で、有期労働契約が5年を超えて更新された場合に、有期契約労働者からの申込みがあれば、無期労働契約に転換されるルールのことです。平成25年4月1日以降に開始した有期労働契約について適用されるもので、本記事の投稿時点で既に無期転換ルールにより、期間の定めがない雇用契約を締結した企業もあります。

例えば、1年間の有期雇用契約の場合は、下の図のように、5回目の更新後には、労働者からの無期転換申込権が発生します。3年間の有期雇用契約の場合は、下の図のように、1回目の更新後に申込権が発生します。

(出典)厚生労働省:有期契約労働者の無期転換ポータルサイトより

有期雇用労働者が、無期転換を企業に申し入れると、企業が申込みを承諾したものとみなされ、無期労働契約が成立します。無期労働契約に転換されるのは、申込時の有期労働契約が終了する日の翌日からです。

独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査結果(※)によると、無期転換ルールの具体的な内容を知っている有期雇用労働者は 35.5%というように、有期雇用労働者にとっては無期雇用への転換によってキャリアと生活の安定につながるメリットがあるにもかかわらず、制度の周知が進んでいなかったのではないかと言われています。

(※)調査対象:企業等2万社と、そこで働く有期契約労働者及び無期労働契約への転換者約5.5万人。

法改正により 無期転換権のある労働者に明示すべき事項(1)

法改正施行日である2024.4.1以降は、無期転換申込権が発生する有期雇用労働者に対して企業が明示しなければならない事項に2点追加があります。
1点目は、無期転換申込権が発生する有期雇用契約の更新のタイミングごとに「無期転換申込機会の明示」を行うことが義務となります。
上の図で、1年毎の更新で働く有期雇用労働者の方を例にすると、企業は、5回目の更新で有期雇用労働者から無期転換の申込がなかったとしても、それ以降に更新する有期雇用契約(6回目以降)においても、更新ごとに雇用契約書にて、無期転換を申込む権利があるかないかを明示しなければなりません。

法改正により 無期転換権のある労働者に明示すべき事項(2)

法改正施行日である2024.4.1以降に、無期転換申込権が発生する有期雇用労働者に対し企業が明示しなければならない事項の2点目に「無期転換後の労働条件の明示 」があります(義務)。

無期転換ルールについて定めている労働契約法第18条には、無期転換後の雇用条件は、有期雇用で働いていた期間に適用していた条件と同一(契約期間を除く)とされています。しかし、労働契約の原則を定めている労働契約法第3条には「労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする」と定められているため、無期転換後の就業の実態に応じた雇用条件を設定することが求められます。

今回の法改正では、無期転換後の条件を明示するとともに、無期転換後の雇用条件を設定するにあたって、企業が雇用している正社員等や無期雇用フルタイム労働者とのバランスを考慮した事項について、無期転換を申し入れた労働者に対し説明するよう努めなければならないこととなります(努力義務)。そのため、労働者に考慮した事項を説明することができるように、業務の内容、責任の程度、異動の有無・範囲などについて十分に検討したうえで 条件を設定することが重要になります。

(出典)厚生労働省:モデル労働条件明示書より

まとめ

今回の法改正によって、雇用契約に無期転換権の有無と転換後の条件が記載されるようになりますので、有期雇用で働く人にとっては、無期転換を企業に申し入れるかどうかを判断しやすくなり、自身の中長期的なキャリアと生活のプランを立てやすくなります。

法改正が2024年4月1日からスタートしますので、それまでに具体的なQ&Aが厚生労働省から発表されるのではないかと思います。企業の皆様は、厚労省の発表を確認するとともに法改正施行日へ向けて、自社の全体的な待遇と業務配分等を見渡した場合に均衡がとれているかを確認するとともに、現状の雇用契約の状況と将来的に必要となる労働量を見据えて雇用管理を行うことが重要になります。

参考労働契約締結時の条件明示ルールが変わります(1)

2024.4.1から、労働契約を締結する際に、企業が労働者に対して明示すべき事項について法改正が行われます。
法改正後は、雇用者である企業・個人事業主の方は、労働契約締結時に、将来どのように勤務させることを予定しているかを明確にして雇用しなければなりません。

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