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勤務間インターバル制度の導入実務|注意点と“使える制度”にするためのポイント解説

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勤務間インターバル制度の導入実務|注意点と“使える制度”にするためのポイント解説

なぜ今、勤務間インターバルなのか?

11月は、厚生労働省が定める「過労死等防止啓発月間」。この期間には、労働時間の適正管理や健康確保に向けた取り組みの見直しが、企業に対して特に強く呼びかけられています。 その対策のひとつとして注目されているのが「勤務間インターバル制度」です。2019年4月から企業の努力義務として導入されており、働きすぎによる健康障害や過労死といったリスクを防ぐ観点から、導入に踏み切る企業も増えてきました。

勤務間インターバル制度って何?

勤務間インターバル制度とは、終業時刻から翌日の始業時刻までの間に、一定時間以上の休息時間(インターバル)を設けることで、働く人の生活時間や睡眠時間をしっかりと確保するための働き方の仕組みです。 2019年4月の働き方改革関連法により、企業には【努力義務】として導入が求められています。

インターバルは「終業時刻から翌始業時刻までの時間」であり、睡眠や生活に加えて通勤時間なども考慮して設定する必要があります。以下は、勤務間インターバル制度を導入している企業で設定されているインターバル時間の長さについての統計です。

インターバル時間(時間)回答企業の割合
13時間以上8.3%
13時間以上 12〜13時間未満11.7%
11〜12時間未満15.0%
10〜11時間未満26.7%
9〜10時間未満8.3%
8〜9時間未満26.7%
〜8時間未満3.3%

※出典:みずほ情報総研「多様な人材の活用戦略に関するアンケート調査」(2018年)

制度導入で翌日の勤務時間はどう変わる?

深夜まで勤務が及んだ場合など、インターバルを確保するために翌日の始業時刻が遅れることがあります。このような場合、不就労時間の扱いとして、(1)インターバル確保のため出社が遅れても、その時間を働いたものとみなす方法と、(2)勤務開始時刻を後ろ倒しする方法があります。

インターバル確保が難しいケースにはどう対応する?

勤務間インターバル制度は、働きすぎを防ぐためにも、日々確保することが必要です。しかし、緊急事態への対応等の特別な場合に、やむを得ず定められたインターバル時間を確保できない状況も考えられます。

制度の実効性を保つためには、“やむを得ずインターバルを確保できないケース”も事前に想定し、規定に定めておくことが重要です。

ただし、「適用除外」を多用すると制度の形骸化につながりかねないため、頻度や発生条件についての慎重な設計が必要です。

適用除外の具体例

  • 突発的な設備トラブルなどへの緊急対応
  • 災害その他避けがたい事由に基づく臨時対応(労働基準法第33条に基づくもの)...など

規定の整備と社内周知を忘れずに

勤務間インターバル制度を形骸化させないためには、就業規則等への明文化が不可欠です。以下のような項目を盛り込みましょう。

  • インターバル時間の具体的な設定(例:11時間以上)
  • 翌日の勤務開始・終業時刻の扱い
  • 適用除外の定義
  • 社内手続き(例:インターバルを確保するための申請方法)

例えば、出社時刻の繰り下げが必要な場合には事前に上長へ申請する仕組みを整えることで、従業員と上長の双方が労働時間の実態を正確に把握しやすくなります。

スムーズな運用のために必要な視点

制度導入後も、実際に運用が定着しているかどうか、定期的なチェックと見直しが求められます。

  • 実際にインターバルが確保されているか?
  • 確保が難しい職種や時間帯はあるか?
  • 健康や業務効率への影響はどうか?

企業の事業活動は常に一定ではありません。新たな取引先との契約や、季節ごとの業務量の変化、社内体制の変化などにより、時間の経過とともに従業員の働き方や業務負荷も少しずつ変わっていきます。
こうした変化に合わせて、勤務体制や労働時間の設計も見直していくことが、過重労働の防止や職場環境の改善につながります。制度は「導入することが終わり」ではなく、実態とズレていないかを定期的に確認する視点が大切です。 また、勤務間インターバル制度の導入と円滑な運用には、現場の管理職や従業員の理解と協力が不可欠です。導入時には社内説明会や研修を行い、制度の意義や運用ルールの共有を図りましょう。

おわりに

「がんばりすぎて倒れてしまうより、
ちょっと休んで明日も元気に働けることのほうが、ずっと大事です。」

そんな考え方を、職場の仕組みに落とし込むことも、労務管理のひとつ。

勤務間インターバル制度は、現在は「努力義務」とされていますが、厚生労働省では今後の「義務化」も視野に制度の在り方を検討しています。2024年1月には、有識者による「労働基準関係法制研究会」が設置され、法改正を含めた議論が進められているところです。

企業にとっても、従業員が健康に働き続けられる職場づくりは、生産性や定着率の向上にもつながります。

エスマイル社会保険労務士事務所では、勤務間インターバル制度の導入支援や、就業規則の見直しもサポートしています。
「うちでも取り入れられるかな?」と感じた方は、どうぞお気軽にご相談ください。

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